Letter 医学:Shank2変異マウスにおける自閉症様社会行動はNMDA受容体機能の回復によって改善する 2012年6月14日 Nature 486, 7402 doi: 10.1038/nature11208 自閉症スペクトラム障害(ASD)は、社会的相互作用や社会的コミュニケーションの障害、および制限された行動や反復的行動を特徴とする一連の障害からなる。ASDは、さまざまな遺伝的決定要因が関与する非常に遺伝性の高い障害である。Shank2(別名ProSAP1)は、興奮性ニューロンのシナプスに豊富に存在する、複数のドメインを持つ足場タンパク質でシグナル伝達アダプターとしても働き、ヒトSHANK2遺伝子の変異はASDと知的障害に関連することが最近明らかにされた。ASDに関連すると同定される遺伝子は増えており、マウスの遺伝学的性質など、さまざまな手法を用いて研究されているが、その原因となる重要な機構で治療に使える可能性を持つものを解明するにはさらなる研究が必要である。本論文では、ヒトSHANK2遺伝子のASD関連微小欠失と同一の変異を持つShank2変異(Shank2−/−)マウスが、社会的相互作用の減少、超音波発声による社会的コミュニケーションの減少、および跳躍の繰り返しなどの、ASD様行動を示すことを明らかにする。これらのマウスでは、NMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)型グルタミン酸受容体(NMDAR)機能の大幅な低下が見られる。D-シクロセリン(NMDARの部分的アゴニスト)でNMDARを直接刺激すると、Shank2−/−マウスのNMDAR機能が正常化し、社会的相互作用が改善される。また、代謝型グルタミン酸受容体5(mGluR5)の正のアロステリック調節因子(mGluR5の活性化を介してNMDAR機能を高める)をShank2−/−マウスに投与しても、NMDAR機能が正常化され、社会的相互作用が顕著に高められる。これらの結果は、NMDAR機能の低下がShank2−/−マウスのASD様表現型の発症に寄与している可能性があり、NMDARのmGluRによる調節がASDの治療戦略になりうることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る