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医学:脱ユビキチン化酵素USP9Xは膵管腺がんを抑制する

Nature 486, 7402 doi: 10.1038/nature11114

膵管腺がん(PDA)は、分子レベルでの特性解明がかなり進展したものの、依然として命にかかわる悪性腫瘍である。PDAには、特徴的な4つの体細胞変異に加えて、その役割ははっきりしていないが、頻度のより低い遺伝的変化が多数存在する。今回我々は、膵管腺がん形成前状態のマウスモデルを用いてSleeping Beauty(SB)トランスポゾンを介した挿入変異誘発を行い、発がん性KrasG12Dと協同して腫瘍形成を加速させ、進行を促進する遺伝子を同定した。このスクリーニングによって、PDAに関する新たな遺伝子候補が明らかになり、これまでにヒトPDAとのかかわりが明らかになっていた多くの遺伝子、経路の重要性が確かめられた。最も変異が多く見られた遺伝子は、X連鎖脱ユビキチン化酵素遺伝子Usp9xで、50%以上の腫瘍で不活性化されていた。以前に行われた研究ではUSP9Xがヒトの異常増殖組織で細胞の生存促進の役割を果たすとされているが、今回は逆に、Usp9xの喪失によって形質転換が促進され、膵がん細胞がアノイキスから守られることがわかった。臨床的には、PDAではUSP9Xのタンパク質量とメッセンジャーRNA発現レベルが低いと、手術後の生存率が低いという相関があり、USP9Xレベルは進行膵がんの転移と逆相関する。さらに、トリコスタチンAや5-アザ-2′-デオキシシチジンによるクロマチン修飾によってヒトPDA細胞株でのUSP9X発現が上昇することから、一部の患者への臨床的対処法が考えられる。マウスでは、Usp9xの条件的欠失とKrasG12Dが重なると膵臓の腫瘍形成が促進され、これらの間に遺伝的相互作用があることが実証された。我々は、USP9XはPDAの予後予測や治療に大きくかかわる重要な腫瘍抑制遺伝子であると考える。

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