Letter 物理:二次元中の引力および斥力フェルミポーラロン 2012年5月31日 Nature 485, 7400 doi: 10.1038/nature11151 環境中の単一不純物の動力学は多体物理の基本問題である。固体でよく知られている例は(格子振動のような)ボソン浴と結合した不純物であり、不純物とそれに伴う格子歪みによって新しい実体、すなわちポーラロンが形成される。この準粒子は、高転移温度超伝導体のスペクトル関数や、マンガン酸化物の巨大磁気抵抗で重要な役割を果たす。フェルミオン浴中の不純物に関する研究では、アンダーソンの直交性カタストロフや近藤効果を見せるような、重い不純物あるいは不動の不純物が検討されてきた。つい最近では動的な不純物が研究の焦点となっており、そのような不純物がフェルミポーラロンとして知られる新しい準粒子を形成することが見いだされた。フェルミポーラロン問題は、2つの重要な量子多体問題の極端ではあるが、概念的には簡単な極限を構成する。すなわち、引力相互作用については、分子ボース・アインシュタイン凝縮体とスピン不均衡なBCS(Bardeen–Cooper–Schrieffer)ペアリングがある超流体との間のクロスオーバーであり、斥力相互作用については、ストーナーの遍歴強磁性である。このような量子相(およびほかのとらえにくいエキゾチック状態)は、二次元に閉じ込められたフェルミ気体で実現される可能性が考えられている。それらの安定性と観測可能性は、二次元フェルミ気体中にあるフェルミポーラロンの理論的に議論されている性質と密接に関係している。本論文では、二次元のスピン不均衡なフェルミ気体中にフェルミポーラロンを生成し、運動量分解された光電子放出分光法を用いてそれらのスペクトル関数を測定した。引力相互作用の場合、ポーラロンと強く束縛された二量体の間に、議論されているペアリング転移を示す証拠を見いだした。これにより、不均衡な強く結合した二次元フェルミ気体の基本的なペアリング機構に関する手がかりが得られた。さらに、斥力相互作用の場合、新しい準粒子、すなわち斥力ポーラロンを調べた。その寿命によって、斥力相互作用するフェルミ系が安定化する可能性が決まる。 Full Text PDF 目次へ戻る