Letter 細胞:ピログルタミル化βアミロイドのプリオンに似た挙動とタウに依存した細胞毒性 2012年5月31日 Nature 485, 7400 doi: 10.1038/nature11060 細胞外のβアミロイド斑とタウタンパク質によるニューロン内部の神経原繊維変化は、アルツハイマー病の組織病理学的特徴である。アミロイド斑は単量体やオリゴマー中間体が集まってできたβアミロイド原繊維からなり、アルツハイマー病の予後指標となる。アルツハイマー病においてアミロイド斑は重要だが、βアミロイドの主要な毒性型はオリゴマーだと考えられている。細胞毒性、微小管消失、記憶障害や学習障害、神経突起の変性などのβアミロイドに対する有害反応の多くは、タウの発現によって大幅に増幅される。アミノ末端が短くなりピログルタミル化(pE)されたβアミロイドは、アルツハイマー病と密接に関連しており、βアミロイドの残基1–42(Aβ1–42)やAβ1–40よりも毒性が強く、アルツハイマー病発症のイニシエーターであると考えられてきた。今回我々は、pE-Aβによるアルツハイマー病の誘発機序と考えられる仕組みを明らかにする。Aβ3(pE)–42は、過剰なAβ1–42とともにオリゴマー化して準安定な低nオリゴマー(LNO)を形成する。このLNOは、Aβ1–42単独で形成されたLNOとは構造が異なり、培養ニューロンに対する細胞毒性がずっと高い。細胞毒性にはタウが必要であり、また5% Aβ3(pE)–42と95% Aβ1–42からなるLNO(5% pE-Aβ)は、Aβ1–42単量体を生じるまで連続的に多段階希釈すると、さらにAβ3(pE)–42を加えなくても、新しい細胞毒性LNOが生じる。アルツハイマー患者の脳から単離したLNOにはAβ3(pE)–42が含まれ、マウスでAβ3(pE)–42形成を亢進させると3か月目の時点でニューロン消失とグリオーシスが起こったが、タウヌルのマウスではこれらが起こらなかった。我々は、Aβ3(pE)–42はタウに依存したニューロン死を引き起こし、Aβ1–42の鋳型誘発性の折りたたみ異常の原因となって構造的に異なったLNOを生じさせ、これがプリオンに似た機構で増殖すると考える。これらの結果は、Aβ3(pE)–42が、アルツハイマー病発症の初期段階にも同様な働きをしている可能性を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る