Letter 神経:アポリポタンパク質EはシクロフィリンAによって脳血管の完全性を制御する 2012年5月24日 Nature 485, 7399 doi: 10.1038/nature11087 ヒトのアポリポタンパク質Eには、APOE2、APOE3およびAPOE4の3種類のアイソフォームが存在する。APOE4はアルツハイマー病の主要な遺伝的リスク因子であり、ダウン症の認知障害や、外傷性脳損傷および出血後の予後不良な神経症状に関係している。神経血管機能障害は、正常なAPOE4保有者およびAPOE4関連疾患の患者に認められる。マウスでは、Apoeの欠損は血液脳関門(BBB)の崩壊を引き起こすが、一方APOE4はBBBの傷害に対する感受性を上昇させる。APOEの遺伝子型が脳微小循環系にどのように影響するかについてはまだよくわかっていない。今回我々は、シクロフィリンA(CypA)を破壊または阻害したマウスなど、異なるAPOE遺伝子導入マウスを用いて、APOE4の発現ならびにマウスApoeの欠損は、血管周囲細胞における炎症促進性CypA–NF-κB–マトリックスメタロプロテアーゼ9経路の活性化によりBBBの崩壊を引き起こすが、APOE2およびAPOE3ではこれが起こらないことを示す。これが次に、血液由来の複数の神経毒性タンパク質のニューロンへの取込み、そして微小血管および脳血管の血流減少を引き起こす。我々は、Apoe欠損、APOE4発現マウスの血管障害は神経機能障害に先行し、神経変性的変化を開始させる可能性があることを示す。アストロサイト分泌APOE3は、リポタンパク質受容体を介して血管周囲細胞のCypA–NF-κB–マトリックスメタロプロテアーゼ9経路を抑制したが、APOE4ではこれは抑制されなかった。今回の結果は、CypAはAPOE4を介した神経血管損傷ならびにその結果として生じる神経機能障害および変性の治療で、重要な標的となることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る