Letter

細胞:ORC1のBAHドメインはH4K20me2をDNA複製ライセンシングとマイヤー・ゴーリン症候群へ結びつける

Nature 484, 7392 doi: 10.1038/nature10956

機能の特化した「エフェフター」タンパク質が、それぞれに異なるヒストン修飾を認識することは、クロマチンで起きた分子事象を生物学的現象へ変換するうえで、重要な仕組みである。エフェクタータンパク質は、転写、DNA組換え、DNA修復など、DNAを鋳型とする過程を制御している。しかし、哺乳類でのDNA複製調節装置におけるエフェクターの機能は、まだ明らかにされていない。本研究では、DNA複製前ライセンシングを調節するORC(複製開始点認識複合体)の構成因子であるORC1はBAH(bromo adjacent homology)ドメインを持ち、このドメインがジメチル化されたヒストンH4リシン20(H4K20me2)を特異的に認識することを示す。H4K20me2の認識は、さまざまな後生動物のORC1タンパク質のBAHドメインに共通した特性である。構造解析から、K4H20me2に対するBAHドメインの特異性は、ジメチル化リシンに結合する動的な芳香族ケージと、結合ペプチドを取り囲む複数の分子間接触によるものであることがわかった。H4K20me2は複製開始点に豊富に存在しており、細胞内でORC1がK4H20me2を認識できないようにすると、複製開始点でのORC1の占有やORCのクロマチンへの誘導が減少し、細胞周期の進行が妨げられた。ORC1のBAHドメインの変異は、原発性低身長症の1つであるマイヤー・ゴーリン症候群(MGS)の病因と関係があるとされており、ゼブラフィッシュでORC1を枯渇させると、MGSに類似した表現型が見られた。野生型のヒトORC1はorc1モルファントの成長遅滞を救済できたが、H4K20me2結合変異型のORC1では救済できなかった。さらに、H4K20me2修飾を枯渇させたゼブラフィッシュは体のサイズが小さくなり、orc1モルファントに類似した表現型を示した。以上のことから、BAHドメインが新規のメチル化リシン結合モジュールであることが明らかになり、ヒストンのメチル化と後生動物のDNA複製装置との間の直接的なつながりが初めて証明された。また本研究は、標準的なH4K20me2標識が、ORC1を介して、原発性低身長症の中心的な病因となることを明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度