Article

進化:イトヨの適応進化のゲノム基盤

Nature 484, 7392 doi: 10.1038/nature10944

海洋性のトゲウオ科魚類は、最終氷期以降に形成された何千もの河川や湖に住み着いて適応しており、自然界で見られる反復生態適応の基盤となるゲノム機構を詳しく解明するためのまたとない材料となっている。今回我々は、この科に属するイトヨの高精度参照ゲノムを構築した。さらに、世界各地の海洋性および淡水性個体群に由来する20個体のゲノム塩基配列を解読し、海洋性–淡水性の分岐に一貫して関連する遺伝子座を、ゲノム全域にわたって同定した。その結果、染色体逆位など、世界規模で共通する既存の遺伝的変異の再使用が、さまざまに異なる海洋性トゲウオや淡水性トゲウオの反復進化と、生殖隔離の初期段階における分岐した生態型の維持とに、重要な役割を果たしていることが明らかになった。海洋性–淡水性の進化の基盤となる遺伝子座群ではコード配列と調節配列の両方に変化が起こっているが、自然界での反復適応進化の例としてよく知られるこのイトヨの場合は、調節配列の変化のほうが多いようである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度