Letter 生態:海底下深部の堆積物中の内生胞子の存在量、微生物の増殖、およびネクロマスの回転 2012年4月5日 Nature 484, 7392 doi: 10.1038/nature10905 20年にわたる科学的海洋掘削調査により、海底下深部の堆積物中に微生物が広く存在し、その細胞数が予想外に多いことが明らかにされた。この高深度生物圏には生命が広く存在しているが、そうした広大な海底下生態系の巨大な群集の大きさと低いエネルギー流量は、いまだに明らかにされていない。高深度生物圏の生物が極端に低いエネルギー流量に特異的に適応しているのかどうか、および観察されている細胞の多くが休眠中の胞子のような状態にあるのかどうかは不明である。今回我々は、「D:L–アミノ酸モデル」という新しい方法を使って、生きている微生物の生物体量、内生胞子、および微生物ネクロマスの分布および回転時間を定量するとともに、それが海底下の炭素収支で果たす役割を明らかにした。この方法は、特有の細菌マーカー(ムラミン酸およびD–アミノ酸)および細菌の内生胞子マーカー(ジピコリン酸)の高感度分析を、アミノ酸の立体異性体のラセミ化動力学と組み合わせたものである。内生胞子の数は栄養細胞と同じくらい多く、微生物活性は極端に低いことから、微生物生物体量の回転時間は数百年から数千年となる。モデルでの計算から、生物体量の生産は、数百万年前に海表面の光合成世界から沈積した有機炭素によって維持されていて、微生物ネクロマスは数十万年の時間スケールで再循環していると推測される。 Full Text PDF 目次へ戻る