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生化学:インフルエンザウイルスが持つヒストン模倣体による抗ウイルス応答の抑制

Nature 483, 7390 doi: 10.1038/nature10892

ウイルス感染には一般的に、ウイルスによる宿主タンパク質の乗っ取りが関係している。本論文では、インフルエンザウイルスがインフルエンザ非構造タンパク質1(NS1)と感染細胞のエピゲノムの相互作用を介して、宿主細胞に影響を与える新規な機構について述べる。A型インフルエンザH3N2亜型のNS1タンパク質にはヒストン様配列(ヒストン模倣体)があり、ウイルスはこれを使ってヒト転写伸長複合体PAF1(hPAF1C)を標的とすることがわかった。NS1のhPAF1Cへの結合はNS1のヒストン模倣体に依存しており、その結果hPAF1Cを介する転写伸長が抑制されるようになることを示す。さらに、ヒトPAF1は抗ウイルス応答にきわめて重要な役割を担っている。NS1がhPAF1Cに結合できないと、インフルエンザの感染が軽減するが、hPAF1Cが欠損すると抗ウイルス遺伝子の発現が低下して細胞のウイルス感受性が高まる。NS1にヒストン模倣体があることによって、インフルエンザウイルスは誘導性遺伝子の発現に選択的に影響を与えることができ、したがってNS1は抗ウイルス応答抑制にかかわっていると考えられる。

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