Letter 進化:恐竜絶滅以前の多丘歯目哺乳類の適応放散 2012年3月22日 Nature 483, 7390 doi: 10.1038/nature10880 約6,600万年前の白亜紀–古第三紀の大量絶滅は、哺乳類進化の転換点の1つだったと通常考えられている。この事象より前の、哺乳類の進化史の最初から3分の2までの間、哺乳類は特殊化していない、体の小さな夜行性の食虫性動物にほぼ限定されており、また、おそらく恐竜からの選択圧を受けていた。白亜紀–古第三紀境界で非鳥類型恐竜が絶滅し、そうした選択圧から解放されたことで、哺乳類の生態的多様化が引き起こされた。近年発見された個々の化石から、中生代に哺乳類の一部系統が生態的に多様化したことが明らかになっているが、白亜紀–古第三紀境界をまたぐ哺乳類群の包括的な生態解析は行われていない。そのような解析が必要なのは、現生分類群の多様化を解析しても過去の生態系を間接的に推論することしかできないためである。今回我々は、中生代の哺乳類の中で進化的に最も繁栄したと言っていい分岐群である多丘歯目で、非鳥類型恐竜が絶滅する2,000万年以上前に適応放散が始まり、それが白亜紀–古第三紀境界を越えて持続したことを示す。食餌内容の範囲と関連する歯の複雑性の差異は、属数の増加および体サイズの多様化と歩調を合わせるように急激に拡大した。さらに、歯の複雑性および体サイズの最大値は、草食性の拡大に向けた適応的移行を示している。こうした食餌の拡張は被子植物の生態的興隆の後に続いていることから、多丘歯目が入手できた資源は白亜紀–古第三紀の大量絶滅の影響をあまり受けなかったと考えられる。総合すると今回の結果は、哺乳類が中生代の新しい生態的好機を利用できたこと、および、そうした好機の少なくとも一部が白亜紀–古第三紀の大量絶滅を越えて存続していたことを示している。他の適応放散に関する同様の広汎な生態形態学的全容は、大量絶滅に関して考えられる原因を絞り込むのに役立つかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る