Letter 物理:分子グラフェンにおけるデザイナーディラックフェルミオンとトポロジカル相 2012年3月15日 Nature 483, 7389 doi: 10.1038/nature10941 単層グラフェンで質量がゼロのディラックフェルミオンが観測され、固体物質内部で相対論的に振る舞う電荷キャリアを利用しようという新しい科学技術分野が生じた。2層グラフェン、トポロジカル絶縁体の表面状態や鉄系の高温超伝導体など増え続けているディラック物質群において、質量がゼロ、または有限なディラックフェルミオンが共に研究、提案されている。このような物理学をどれだけ探求できるかは新しい物質の合成にかかっているため、ディラック準粒子の探索は極低温原子からなる格子のような人工的な系へと拡張されてきた。本論文では、銅表面上で従来型の二次元電子系の上に原子操作により一酸化炭素分子を集合した分子グラフェンによる完全に調整可能な凝縮物質系において、ディラックフェルミオンが出現することを報告する。低温走査型トンネル顕微鏡法・分光法を使って、二次元ディラック方程式の基礎となる対称性を電子格子中へ埋め込み、その結果生じる基底状態を可視化し、成形した。これらの実験により、線形に分散し、質量がゼロの準粒子がこの系内部に存在し、これにグラフェンに特徴的な状態密度が伴っていることがわかった。次に、格子サイト間の量子トンネリングを局所的に調整して、伝搬する電子の相の発生を調節した。格子歪みの分光テクスチャリングにより、ディラックフェルミオン密度の二次元制御とディラック粒子に質量を与えることが可能な、原子レベルで鋭いp–n接合とp–n–p接合のデバイスを生成した。さらに、スカラーポテンシャルとベクトルポテンシャルを局所的に、また大域的にかけて、トポロジカルに異なる基底状態、そして究極的には、ディラック電子がその参照座標には現れるが実験室座標には存在しない「擬」電場・磁場と反応するという、埋め込みゲージ場を発生させた。我々は、これらのゲージ場が生成するランダウ準位は相対論的な磁気量子極限をとらせることが可能なのを実証した。これは今まで天然のグラフェンでは不可能であった。分子グラフェンにより、目的に合わせたナノ構造を使って凝縮物質でエキゾチックなトポロジカル電子相を合成するさまざまな手段が得られる。 Full Text PDF 目次へ戻る