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進化:歯の複雑性増加の難しさ

Nature 483, 7389 doi: 10.1038/nature10876

時間の経過とともに形態的複雑性が増していくらしいことは生命の歴史の興味深い一面であり、そのよく知られた例が哺乳類の臼歯の進化である。対照的に、発生の実験的研究では複雑性減少が容易に見て取れ、その代表例はやはり哺乳類の歯におけるもので、変異マウスやトランスジェニックマウスでは咬頭と呼ばれる歯冠の特徴がしばしば消失する。今回我々は、複数のシグナル伝達経路を同時に調節することによりマウスの歯の複雑性を大幅に増大させられることを報告する。歯をin vitroで培養し、正常な歯の発達にどれもが個々に必要とされるEDA(ectodysplasin)、アクチビンA経路およびソニックヘッジホッグ(SHH)経路を調節した。歯の複雑性は、咬頭の数と表面の複雑さの形態学的測定を用いて定量化した。その結果、EDAとアクチビンAシグナル伝達の活性化、SHHシグナル伝達の抑制は、それぞれ単独では複雑さを軽度から中等度増大させるだけであったが、3つすべての経路を同時に調節すると咬頭の数が2倍に増加した。また、咬頭数の増加は歯のサイズの増加の結果ではなく、発生初期のパターン形成時の変化によるものである。複雑性が増した変異体がないこと、複雑な表現型を持つ自然変異がわずかしかないこと、および複数の経路を使うことにより歯の複雑さが大幅に増加するという今回の結果を合わせると、表現型の複雑性の増大は減少とは根本的に異なっていることが示唆される。

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