Letter 生化学:ポリエーテル生合成における酵素触媒による非ボールドウィン型環化反応 2012年3月15日 Nature 483, 7389 doi: 10.1038/nature10865 天然の多環式ポリエーテルは有用な生物活性があり、また非常に複雑な構造と興味をそそる生合成機構を持つため、化学者も生物学者も強い関心を寄せてきた。初めに、ラサロシドとイソラサロシドがポリエポキシド由来であるという説が出され、ラサロシドとモネンシンの酸素原子、炭素原子の由来が実験により決定された後に、ポリエーテル系イオノフォア抗生物質の生合成の統一的立体化学モデルが提出された。このモデルの基本は、全trans型ポリエンポリケタイド中間体の立体特異的酸化によって生じるポリエポキシドと考えられる基質の連続的求核反応による環化であった。その後まもなく、はしご状ポリエーテルを持つ魚介毒(marine ladder toxin)の生合成について、類似のモデルが提出された。このモデルには、通常の反応では起こりにくい非ボールドウィン型の連続したendo-tet型エポキシド開環反応が含まれていた。最近我々は、放線菌Streptomyces lasaliensisの遺伝子クラスターから、ビスエポキシプレラサロシドAのエポキシド開環による環化反応によってラサロシドAを形成するエポキシドヒドロラーゼとして、Lsd19遺伝子を単離した。本論文では、基質や生産物類似体と複合体を形成したLsd19のX線結晶構造について報告する。これは、エネルギー的に不利なエポキシド開環による環状エーテル形成を触媒する天然酵素の、我々の知る限りで初めての原子構造である。この構造研究と計算による研究に基づいて、天然ポリエーテル化合物の酵素触媒による生合成の一般的な機構を提示する。 Full Text PDF 目次へ戻る