Letter 生化学:毒性のエポキシドを形成し、脱酸素するオキシゲナーゼ 2012年3月15日 Nature 483, 7389 doi: 10.1038/nature10862 異化作用では、細胞の生存を危うくする有害な中間体が生じる可能性がある。その一例がエポキシドで、これは細菌の補酵素A(CoA)に依存したフェニル酢酸分解という、最近明らかにされた一般的と思われる反応で形成される。フェニル酢酸は、フェニルアラニン、リグニン類似化合物、あるいは環境汚染物質などの多様な芳香族化合物の異化で中心となる化合物である。経路で重要なフェニルアセチルCoAモノオキシゲナーゼ(エポキシダーゼ)であるPaaABCEは、さまざまな一次、二次代謝産物の生成にもかかわり、さらにある種の病原体の毒性にも関係している。しかし、この酵素複合体の詳細な研究はこれまで行われていなかった。今回我々は、多成分からなる、細菌のモノオキシゲナーゼPaaABCEの特性を調べ、この酵素がフェニルアセチルCoAを環状の1,2–エポキシドに変換するだけでなく、エポキシドの酸素をNADPHに依存して除去し、フェニルアセチルCoAを再生させるとともに水を生成することを見いだした。オキシゲナーゼによる有機化合物の脱酸素という前例のない反応のおそらくは要である、2個の鉄を持つ触媒中心が存在することの証拠が得られた。このような二機能性はおそらく、異化過程の次の段階が遅れた場合に細胞内のエポキシドが有害なレベルに達するのを避けるために不可欠なのだろう。我々のデータからは、非反応性分解産物を形成する2種類のチオエステラーゼ(PaaIとPaaY)が解毒作用を助けていることが示唆される。つまりPaaABCEは、自身の作る有害な産物から逃れる内在機構を備えていると考えられ、二機能性オキシゲナーゼ/デオキシゲナーゼの原型といえる。同様な反応が、鉄を2個持つ他のエポキシダーゼによっても触媒されている可能性が考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る