Letter 地球:新原生代の炭素循環の解明 2012年3月15日 Nature 483, 7389 doi: 10.1038/nature10854 地球史における主な気候事象や生物事象の解釈の多くは、炭酸塩岩と堆積有機物の安定炭素同位体の記録から導かれている。新原生代の炭酸塩の記録には、長期間(1千万年〜1億年)にわたる例外的に大きな負の同位体異常が含まれており、炭酸塩中のδ13C(δ13Ccarb)が+5‰以上増加しているという特徴がある。一般的には、δ13Ccarb は、海洋堆積物中の有機物質として埋没した炭素の相対的画分の尺度として解釈されており、一次生産の化学量論を通して酸素の蓄積と関連付けられる。海洋の溶存無機炭素の同位体組成の変化がこれらの偏差の原因であるなら、δ13Ccarbと有機炭素中のδ13C(δ13Corg)の記録が共変し、一次生産で与えられた分別によって相殺されると予想される。しかし、δ13Corgから分離された、新原生代のδ13Ccarb偏差についてのいくつかの研究は、別の機構がこれらの偏差の原因である可能性があることを示している。本論文では、大振幅の(10‰以上)負の炭素同位体異常を複数捉えている、モンゴル、カナダ北西部、ナミビアから得られたδ13Cデータを提示し、新しい定量的混合モデルにこれらのデータを用いて、新原生代炭素循環の挙動を調べた。モンゴルとカナダから得られた炭酸塩と有機炭素の同位体データは、複数のδ13Ccarb偏差を通して密接に結びついており、すなわち続成作用や、海洋の大きな溶存有機炭素貯蔵庫の存在と最終的酸化などの、これまでに提案されている別の説明は定量的に除外されることが見いだされた。ナミビアから得られた今回のデータは、同位体の共変性を記録していないが、有機物の砕屑性フラックスとの単純な混合によって説明できる。したがって我々は、δ13Ccarb 異常を、表層炭素循環の一次擾乱の記録として解釈する。この解釈は、極端な同位体偏差と深海の酸素化を結びつけるモデルの再検討と、動物が生活できる環境の始まりを必要とする。 Full Text PDF 目次へ戻る