Letter 進化:多次元的形質空間での共進化は寄生生物や病原体の回避に有利に働く 2012年3月15日 Nature 483, 7389 doi: 10.1038/nature10853 ほぼすべての生物種が、寄生生物や病原体による絶え間ない攻撃を受けている。寄生生物や病原体は、被害を受ける種と比較して世代当たりの時間が短い傾向があり、また、相互作用が原因でより強い選択を高頻度で受ける傾向が見られるため、被害生物種よりも速く進化して、防御とそれへの対抗策という進化的競争での優位性を維持していると考えられることが多い。この予想には一見すると矛盾がある。では、被害を受ける種が、自分を上回る速度で進化する敵から絶え間なく襲撃されているにもかかわらず、生存し続け、ときには繁栄さえしているのはどういう仕組みによるのだろうか。考えられる1つの説明は、防御のほうが攻撃よりも生理的、機構的、および行動的に容易であり、そのため、被害を受ける生物では寄生生物や病原体ほど進化が制約されないというものである。もう1つ考えられる説明は、寄生生物や病原体それ自体にも敵があり、寄生生物や病原体がトップダウン的に制御されるために、被害生物種集団への個体群統計学的な影響が概して軽度でしかないので、被害を受ける種が存続するというものである。今回我々は、第三の可能性を検討した。それは、被害を受ける種が従来の通念で考えられているほど進化的に無力ではなく、対等の条件で闘うのに役立つ特有の進化的優位性を持っている可能性である。定量的な遺伝子解析および個体に基づくシミュレーションを用いることにより、宿主と寄生生物の両方で複数形質が共進化に関与する場合には、被害を受ける生物がそのような優位性を達成できることが明らかになった。 Full Text PDF 目次へ戻る