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生理:ショウジョウバエのPiezoが機械的侵害受容に果たす役割

Nature 483, 7388 doi: 10.1038/nature10801

聴覚、触覚、痛覚などの感覚には、受容細胞による機械的刺激の伝達が不可欠である。無脊椎動物では、ニューロンの機械的シグナル伝達にイオンチャネルが役割を果たしているが、哺乳類の機械的シグナル伝達でこのようなイオンチャネルの機能が保存されていることは観察されていない。例えば、TRP(transient receptor potential)イオンチャネルファミリーに属するNOMPC(no mechanoreceptor potential C)は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)と線虫(Caenorhabditis elegans)で機械的シグナル変換器として働くが、哺乳類にはそのオルソログは存在しない。デジェネリン/上皮性ナトリウムチャネル(DEG/ENaC)ファミリーのメンバーは線虫の機械的シグナル変換器であり、キイロショウジョウバエでもおそらくそうだと考えられているが、その哺乳類ホモログが機械的刺激感知に果たす直接的な役割は明らかになっていない。最近、Piezo1(別名Fam38a)とPiezo2(別名Fam38b)が、哺乳類の機械的刺激で活性化されるチャネルの成分であることが突き止められた。Piezoファミリーは、進化上保存されている膜貫通タンパク質である。これらがin vivoで機械的刺激の感知にかかわっているのかどうかはわかっておらず、かかわっているとしても、どのような機械刺激を担当しているのかは不明である。今回我々は、ショウジョウバエのPiezoファミリーのメンバーの1つであるDmpiezo(別名CG8486)の生理的役割を調べた。ヒト細胞でDmpiezoを発現させると、対応する哺乳類Piezoの場合と同様に、機械刺激による活性化電流が誘導された。Dmpiezoをノックアウトした幼虫では、機械的侵害刺激に対する行動応答が著しく低下したが、他の侵害刺激や接触に対する応答は影響を受けなかった。侵害受容にかかわり、DEG/ENaCイオンチャネルであるpickpocketppk)を発現する感覚ニューロンではDmpiezoをノックダウンするだけで、機械的侵害刺激に対する応答が損なわれた。さらに、これと同じニューロンでDmpiezoを発現させると、構成的Dmpiezoノックアウト幼虫の表現型が救済された。さらにppk陽性ニューロンから得られた電気生理学的記録からは、Dmpiezoに依存する機械刺激活性化電流が明らかになった。また、ppk陽性細胞でDmpiezoppkが並行した経路で機能していること、この2つのチャネルがないと機械的侵害受容が消失することもわかった。これらのデータは、Piezoファミリーがin vivoで機械的シグナル伝達に生理的にかかわっていることを示しており、Piezoタンパク質が機械的侵害受容に役割を担っていることを裏付けている。

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