Letter

細胞:シャペロンRtt106によるH3K56アセチル化ヒストンH3–H4の認識の構造基盤

Nature 483, 7387 doi: 10.1038/nature10861

真核生物では、クロマチン構造の動的な変動が、DNAのかかわる事実上あらゆる過程に影響しており、その制御の一部を担っているのがヒストンの翻訳後修飾である。このような修飾の1つに、ヒストンH3のアミノ末端αヘリックス(αN)のリシン56のアセチル化(H3K56ac)があり、DNA複製や修復の際のヌクレオソーム構築の調節や、遺伝子転写の際のヌクレオソーム解体の調節にかかわるとされている。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)では、ヒストンシャペロンRtt106が、H3K56acを有する新たに合成されたH3–H4複合体を、複製中のDNAに結合させる働きをしている。しかし、Rtt106にはアセチル化リシンを読み取るドメインが存在しないように見えるため、Rtt106がどのようにしてH3–H4に結合し、H3K56acを特異的に識別するのかは、明らかになっていない。今回我々は、Rtt106の2つのドメインが、組み合わせによるH3–H4認識にかかわっていることを明らかにする。N末端ドメインがホモ二量体を形成し、アセチル化の有無にかかわらずH3–H4に結合する一方、二重プレクストリン相同(PH)ドメインがH3のK56を含む領域に結合する。K56のアセチル化によって親和性が著しく高まるのは、おそらく、H3のαNヘリックスがとるコンホメーションのエントロピーが増大するためだろう。これらのデータは、Rtt106のホモ二量体を作るN末端ドメインが(H3–H4)2四量体の2個のH3–H4成分の間に入り込む一方で、Rtt106二量体の2個の二重PHドメインが(H3–H4)2の2個のH3K56ac部位それぞれに結合するという結合様式を裏付けている。また、このRtt106–(H3–H4)2結合が遺伝子サイレンシングやDNA損傷応答に重要であることも明らかになった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度