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進化:ヒトとアカゲザルのY染色体では、急激な消失が起こった後の遺伝子は進化的に厳重に保存されている

Nature 483, 7387 doi: 10.1038/nature10843

ヒトのXおよびY染色体は、過去2億〜3億年の間に普通の1対の常染色体から進化した。ヒトのMSY(Y染色体上の雄性特異的領域)には、遺伝子崩壊のために、祖先である常染色体の遺伝子のわずか3パーセントしか残っていない。この進化上の崩壊が進む原動力になったのは、5回にわたる「層化(stratification)」現象である。層化のたびに、染色体の一部分すなわち「層」の内部でのX–Y交差が抑制され、この部分がMSYへと取り込まれ、そこの遺伝子群は、交差が起こらないことに伴う浸食圧にさらされた。このような層化が最後に起こったのは現在から3,000万年前、ヒト系統と旧世界ザル系統が分岐する500万年前のことである。ヒトY染色体で進行する遺伝子崩壊と迫り来る染色体消滅については、さまざまに推測されているが、旧世界ザル系統と分かれてからの2,500万年の間にヒト系統でMSY遺伝子がどのくらい失われたかについて、わかっていることはきわめて少ない。この問題を調べるために、我々は旧世界ザルであるアカゲザルのMSYの塩基配列を解読し、これをヒトMSYと比較した。この2,500万年の間にヒト系統で起こったMSY遺伝子の消失は、ヒトMSYの3パーセントに当たる最も新しい層(層5)に限定されていることがわかった。ヒトMSYの大部分を構成するのはこれよりも古い層だが、そこでの遺伝子消失は2,500万年以上前に明らかに終わっていた。同様にアカゲザルのMSYでも、その構造はヒトMSYと大きく異なっているにもかかわらず、古い方の遺伝子(層1〜4)はこの2,500万年間にはまったく失われていなかった。アカゲザルのMSYの方は構造が単純で、染色体内の組換えや修復を可能にすると思われる増幅型遺伝子ファミリーやパリンドロームがほとんどない。これらの結果によって、各層が祖先遺伝子の急激で大量の消失の後に純化選択によって厳重に保存されるという、ヒトMSYの進化のようすが実証的に復元された。

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