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脳:恐怖条件付けとその消退が樹状突起棘の再構築に及ぼす相反的影響

Nature 483, 7387 doi: 10.1038/nature10792

恐怖記憶の消去は、以前に獲得した恐怖記憶を消去するのではなく、それを抑制する新たな学習の形をとると考えられている。この考えは、行動研究や電気生理学的研究により多くの裏付けが得られているものの、恐怖消去により恐怖記憶が部分的に消されるという仮説も、完全に否定されたわけではない。我々は経頭蓋的二光子顕微鏡を使って、恐怖の学習と消去に伴って神経回路がどのように変化するかを、マウス前頭連合皮質第5層の錐体ニューロンのシナプス後樹状突起棘の形成と除去を調べることで検討した。本論文では、聴覚手がかりと足底電気刺激を組み合わせた恐怖条件付けを行うと、棘除去の率が増すことを示す。一方、足底電気刺激なしで同じ聴覚手がかりを繰り返すことによって恐怖を消去すると、棘形成の率が高まる。恐怖条件付けと消去によって起こる棘再構築の程度は、条件付けされた恐怖応答の表出と消退とにそれぞれ強く相関していた。特に、恐怖条件付けと消去によって誘発される棘の除去と形成は、同一の樹状突起分枝上で、手がかりおよび部位に特異的に起こることは重要である。手がかり特異的な恐怖消去は、恐怖条件付け後に除去された棘から2マイクロメートル以内の部位に樹状突起棘形成を引き起こす。また、再条件付けを行うと、恐怖消去後に形成された樹状突起棘が選択的に除去された。したがって、非常に複雑なニューロンネットワーク内でも、恐怖条件付けとその消去、および再条件付けは、個々のシナプスのレベルで相反する変化を引き起こす。この知見は、恐怖消去に伴って恐怖記憶痕跡の一部が消されていることも示唆している。

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