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構造生物学:M3ムスカリン性アセチルコリン受容体の構造と動態

Nature 482, 7386 doi: 10.1038/nature10867

最初に同定された神経伝達物質であるアセチルコリンは、その生理的作用の多くを、ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)として知られるGタンパク質共役受容体(GPCR)ファミリーの活性化を介して発揮する。mAChRの5種類のサブタイプ(M1からM5)は高い配列相同性を共有しているが、Gタンパク質との結合の選択性、およびそれぞれが媒介する生理反応には著しい相異が見られる。数十年の努力にもかかわらず、mAChRサブタイプに対してはっきりした選択性を持つ治療薬は開発されておらず、このような違いが活かされていない。今回我々は、Gq/11共役M3 mAChR(ラット由来「M3受容体」)の気管支拡張薬チオトロピウムと結合した構造を明らかにし、臨床的に重要なこの薬剤の結合様式を突き止めた。この構造とGi/o共役M2受容体の構造から、mAChRのサブタイプ選択的なリガンドが設計できるかもしれない。M3受容体の構造解明により、哺乳類GPCRサブファミリーに属すが、異なるGタンパク質結合選択性を示す2つのメンバーの構造比較が可能となったことは重要である。さらに、分子動力学シミュレーションでは、チオトロピウムがこれら両方の受容体で結合ポケットへの移動途中にアロステリック部位へ一時的に結合することが示唆されている。これらのシミュレーションにより、オルソステリックなGPCRリガンドに見られるアロステリック結合様式に関する構造的な考え方が得られ、各サブタイプに対して親和性や結合の反応速度論的性質が異なるリガンドの、また別な考え方による設計も可能になると考えられる。今回の知見は、最も重要なGPCRファミリーの1つの機能と構造に関する手がかりを提供するだけでなく、これらの重要な受容体を標的とするよりよい治療薬の設計を促進するだろう。

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