Letter

細胞:筋幹細胞静止状態のマイクロRNA-489による維持

Nature 482, 7386 doi: 10.1038/nature10834

哺乳類の成体幹細胞をそこからさらに分化した子孫細胞と識別する主要な特性の1つに、長期間にわたって静止状態を維持できるという幹細胞の能力がある。しかし、幹細胞の静止状態を維持する分子経路はまだよくわかっていない。本論文では、成体マウスの筋幹細胞(衛星細胞)をモデル系として用い、マイクロRNA(miRNA)経路が静止状態の維持に不可欠であることを示す。機能するmiRNA経路を欠損した衛星細胞は、自発的に静止状態を脱して細胞周期に入る。我々は、マイクロアレイ解析により、衛星細胞系列で静止状態特異的なmiRNAを複数同定した。これらのうちmiRNA-489(miR-489)は、静止状態の衛星細胞に高発現しており、衛星細胞活性化に際して急速に発現量が低下する。さらなる解析から、miR-489は、がん遺伝子であるDek(そのタンパク質産物は衛星細胞の非対称分裂の際により分化した娘細胞のほうに局在する)を転写後抑制し、筋原性前駆細胞の一過的な増殖拡大を促進することがわかり、衛星細胞の静止状態の調節因子として働くことが明らかになった。今回の結果は、成体幹細胞集団の静止状態の能動的な維持に、miRNA経路が一般的にかかわっていること、また、miR-489という特定のmiRNAがかかわっていることの証拠となる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度