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構造生物学:MLLとJUNDはともにメニンの同じポケットに結合するが、転写には逆の影響を与える

Nature 482, 7386 doi: 10.1038/nature10806

メニンは腫瘍抑制タンパク質で、その欠損あるいは不活性化は、常染色体優性遺伝性腫瘍症候群の1つで、複数の内分泌器官での腫瘍形成を特徴とする多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)を引き起こす。多様なタンパク質と相互作用し、さまざまな細胞過程に関与しているメニンは、JUNファミリーの転写因子であるJUNDに結合し、その転写活性を阻害する。MEN1のミスセンス変異の一部は、メニンとJUNDの相互作用を妨害するので、メニンの腫瘍抑制機能とJUNDによって活性化される転写のメニンによる抑制の間には相関関係があると考えられる。メニンはまた、ヒストンH3の4番目のリジンに特異的なメチルトランスフェラーゼであるMLL1(mixed lineage leukaemia protein 1)とも相互作用し、遺伝子転写を上昇させる発がん性補因子として機能して、MLL1融合タンパク質による白血病発生を促進する。クロマチン結合因子であるLEDGF(lens epithelium-derived growth factor)をメニンがMLL1へ繋留することに関する最近の報告は、メニンが複数のタンパク質の機能を調整する分子アダプターであることを示している。こうした重要性にもかかわらず、メニンが多数の相互作用相手分子と相互作用して、その機能を調節する仕組みはほとんどわかっていない。本論文では、遊離型、およびMLL1、JUNDあるいはMLL1–LEDGFヘテロ二量体と複合体を形成したヒトメニンの結晶構造を示す。これらの構造から、メニンには深い結合ポケットが1個あり、MLL1あるいはJUNDの短いペプチドが同じ様式でここに結合するが、それぞれの結合が転写に与える影響は逆方向となり得ることを示す。メニン–JUNDの相互作用はJNK(JUN N-terminal kinase)が仲介するJUNDリン酸化を阻害し、JUNDが誘導する転写を抑制する。対照的に、メニンはこのペプチドポケットを介して転写活性化因子MLL1へ結合することにより、遺伝子転写を促進するが、メニンとMLL1によって形成された別の表面上で生じているクロマチン繋留タンパク質LEDGFとの相互作用は変わらずに維持されている。

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