Letter 医学:小児膠芽腫におけるヒストンH3.3とクロマチンリモデリング遺伝子のドライバー変異 2012年2月9日 Nature 482, 7384 doi: 10.1038/nature10833 多形性膠芽腫(GBM)は成人でも小児でも致死性の脳腫瘍である。しかし、DNAコピー数や遺伝子発現の特徴は成人と小児の症例には違いがあることを示している。この違いの元になっている遺伝的現象を探るため、48例の小児のGMB標品のエキソーム塩基配列解読を行った。H3.3-ATRX-DAXXクロマチンリモデリング経路の体細胞変異が44%の腫瘍(21/48)で見つかった。複製非依存性のヒストン3変異体であるH3.3をコードするH3F3Aの頻発性変異が31%の腫瘍で観察され、この変異は重要な調節性翻訳後修飾に関与するヒストン尾部内の2つの重要な位置(K27M, G34R/G34V)にアミノ酸置換を引き起こした。H3.3が挟動原体ヘテロクロマチンとテロメアに組み込まれるために必要なクロマチンリモデリング複合体の2つのサブユニットをコードするATRX (α–thalassaemia/mental retardation syndrome X-linked)とDAXX (death-domain associated protein)の変異は、サンプル全体では31%、G34Rまたは G34V H3.3変異を有する腫瘍では100%に観察された。TP53の体細胞変異は全症例の54%で、H3F3Aあるいは(および)ATRX変異を持つサンプルでは86%で見つかった。さまざまなグレードや組織型の膠腫の大きいコホート(n=784)のスクリーニングでは、H3F3A変異はGMBに特異的で、小児や若年層成人に非常に多かった。さらに、H3F3A/ATRX-DAXX/TP53変異の存在は、テロメア長の伸長の違いや特異的な遺伝子発現プロファイルと強く相関していた。これは、我々の知る限りでは、ヒトの調節性ヒストンに頻発する変異を明らかにした最初の報告であり、我々のデータは小児ならびに若年層成人のGMBの発生機序の基盤にクロマチン構造の異常があることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る