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医学:誘導多能性幹細胞を用いた孤発性および家族性アルツハイマー病の精査

Nature 482, 7384 doi: 10.1038/nature10821

アルツハイマー病の発症原因の解明は現在十分ではないが、それは患者から生きたニューロンを得るのが難しいことや、孤発性アルツハイマー病がモデル化できないことによっている。このような難問は、患者由来の初代培養細胞を再プログラム化して誘導多能性幹細胞(iPSC)を作製することで、克服できる可能性がある。今回我々は、アミロイド–β前駆体タンパク質遺伝子(APP)の重複に起因する家族性アルツハイマー病(略称APPDp)の患者2例、孤発性アルツハイマー病の患者2例(略称sAD1、sAD2)、および認知障害のない対照群2例から採取した初代培養繊維芽細胞を、再プログラム化してiPSC系列を樹立した。培養細胞が分化してできたニューロンを蛍光活性化細胞選別法で精製し、特性解析を行った。精製された培養細胞は、90%を超えるニューロンを含有し、マイクロアレイ基準解析で胎児の脳メッセンジャーRNA検体とクラスターを形成し、機能するシナプス接合を形成できた。ほぼすべての細胞が、正常な電気生理学的活性を示した。APPDp患者2例とsAD2患者から得たiPSC由来精製ニューロンは、対照群と比較して、病態マーカーであるアミロイドβ(1-40)、リン酸化タウ(Thr 231)および活性型グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(aGSK-3β)の値が有意に高かった。APPDpおよびsAD2の患者から得たニューロンでは、対照群と比較して、大型のRAB5陽性初期エンドソームの蓄積も認められた。精製ニューロンにβ–セクレターゼ阻害剤を投与すると、リン酸化タウ(Thr 231)およびaGSK-3β値の有意な低下が起こったが、γ–セクレターゼ阻害剤では低下は認められなかった。これらの結果は、ヒトのニューロンにおけるGSK-3β活性化およびタウのリン酸化と、APPタンパク質分解処理との間には直接的な関係があるが、アミロイドβとの間には関係が認められないことをことを示唆している。さらに我々は、sAD患者の1人のゲノムを有するニューロンは、家族性アルツハイマー病の検体に認められる表現型を示すことを見いだした。さらに一般的には、患者でアルツハイマー病発病の徴候が明らかになるには何十年もかかることがあるが、iPSCの技術を使えばこの病気に関連する表現型を観察できることが実証された。

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