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発生:胚性幹細胞の分化に際して起こるLSD1によるエンハンサー無効化

Nature 482, 7384 doi: 10.1038/nature10805

転写因子やクロマチン修飾因子は、発生の際の細胞状態のプログラム化や再プログラム化に重要である。転写因子はエンハンサー配列に結合し、コアクチベーターやクロマチン修飾酵素を動員して転写開始を促進する。分化に際して、これらのエンハンサーの一部はサイレンシングを受ける必要があるが、エンハンサーのサイレンシングの基盤となる機構についてはほとんどわかっていない。本研究では、ヒストンH3のLys4やLys9(H3K4/K9)の脱メチル化を行うヒストンデメチラーゼであるリシン特異的デメチラーゼ1(LSD1)が、マウス胚性幹細胞(ESC)の分化に際して起こるエンハンサー無効化に必須であることを示す。LSD1は、ESCの状態制御にきわめて重要な活性化された遺伝子のエンハンサーを占有する。しかし、LSD1はESCの固有の性質の維持には必須ではない。その代わり、LSD1活性を欠くESCは完全な分化を行うことができず、ESC特異的エンハンサーは、分化にともなうヒストン脱メチル化を受けることができない。活性化しているエンハンサーで、LSD1はNuRD(nucleosome remodelling and histone deacetylase)複合体の構成因子の1つであり、この複合体はESC分化に必要な他のサブユニットを含んでいる。LSD1–NuRD複合体は、分化に際して多能性プログラムのエンハンサーを無効化し、これがESC遺伝子発現プログラムの完全な停止と、新たな細胞状態への移行に必須であると考えられる。

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