Letter 認知:小児期から老年期までの知能の安定性および変化への遺伝的寄与 2012年2月9日 Nature 482, 7384 doi: 10.1038/nature10781 精神機能の健康的な老化の決定因子を解明することは、現代社会の優先課題の1つである。これまでのところ、知能の個人差は小児期から老年期に至るまでほとんど変化がないことが明らかになっており、また、さまざまな年齢層での知能への遺伝的関与も推定されている。しかし、遺伝的原因が認知機能老化の個人差に関与しているのかどうかを明らかにしようとする研究からは、あまり情報が得られていない。今回我々は、ヒトの一生の大部分を通じた知能の安定性および変化に対する遺伝および環境の寄与を推定した。血縁関係のない被験者1,940人から得た全ゲノムの一塩基多型(SNP)データを使ったが、被験者の知能は小児期(11歳)および老年期(65、70、または79歳)の2回測定されている。統計的方法は、血縁関係のない被験者のSNPデータから遺伝的(共)分散を推定できるものを用いている。ありふれた複数のSNPとの連鎖不平衡に因果関係が見られる遺伝的変異が、小児期から老年期までの認知能力変化のばらつきの0.24を占めると推定された。二変量解析により、11歳時の知能と老年期になったときの知能との遺伝的相関は0.62と推定された。生涯の認知機能の測定量に関する希少なデータから得られた今回の推定値は、認知能力の安定性および変化をもたらす遺伝的原因を探索することの妥当性を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る