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医学:抗トリパノソーマ薬の有効性と耐性のハイスループット解読

Nature 482, 7384 doi: 10.1038/nature10771

疾患特異的な化学療法という概念が展開されたのは、100年前である。こうした研究の中心となったのが、トリパノソーマに対する選択性を示す色素やヒ素化合物であり、このとき生まれた薬は、ヒトアフリカトリパノソーマ症(HAT;アフリカ睡眠病)の治療に今も使われている。より有効性の高いHAT療法の開発には、薬剤の選択的作用や耐性の基盤となる機構の解明が重要であることはわかっているものの、こうした機構はまだほとんど解明されていない。今回我々は、現在使われている全部で5種類のHAT薬を用いて、Trypanosoma bruceiで全ゲノムでのRNA干渉標的塩基配列解読(RIT-seq)スクリーニングを行い、抗トリパノソーマ薬の作用を助ける輸送体、細胞小器官、酵素、代謝経路を明らかにした。RIT-seqプロファイリングによって、既知の薬剤取り込み輸送体2つと既知の唯一のプロドラッグ活性化因子が同定され、他に50個以上の遺伝子が薬剤の作用に関係することがわかった。血流中型トリパノソーマに特異的な不変の表面糖タンパク質(ISG75)ファミリーはスラミンの取り込みにかかわっており、AP1アダプチン複合体、リソソームプロテアーゼ類、リソソームの主要な膜貫通型タンパク質、スペルミジンおよびN–アセチルグルコサミン生合成も、すべてスラミンの活性にかかわっている。さらにスクリーニングを行い、ユビキノンが利用できるかどうかはニトロ薬の作用に、細胞膜のP型H+–ATPアーゼはペンタミジンの作用に、トリパノチオンおよびキナーゼと考えられる数種類のタンパク質がメラルソプロールの作用に結びつくことがわかった。また、ペンタミジンとメラルソプロールの交差耐性に、アクアグリセロポリンが重要な役割を果たしていることも実証した。抗トリパノソーマ薬の有効性と耐性に関係する機構の解明が進んだことは、新たな治療法の合理的設計に役立ち、薬剤耐性と闘う助けになるとともに、抗トリパノソーマ薬の作用機序を分子レベルで理解するための初めての手がかりとなるだろう。

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