Letter 生理:CRACチャネルのイオン選択性はSTIM1によるゲート開閉によって調節されている 2012年2月9日 Nature 482, 7384 doi: 10.1038/nature10752 イオン選択性とチャネルのゲート開閉は、イオンチャネルを特徴付ける2つの機能特性である。イオン選択性は一般的に、開いたチャネル構造が持つ変化しない性質と考えられているが、ゲート開閉にはチャネルの開状態と閉状態の間の移行がかかわっていて、通常はイオン選択性の変化は伴わない。ストア作動性Ca2+放出活性化Ca2+(CRAC)チャネルでは、CRACチャネル活性化因子であるSTIM1(stromal interaction molecule 1)によるチャネルゲート開閉の分子機構はまだわかっていない。CRACチャネルは、きわめて高いCa2+選択性を特徴とし、多くの真核細胞で遺伝子発現とエフェクター機能に必須とされる細胞内カルシウム濃度上昇を維持するのに役立っている。今回我々は、ヒトCRACチャネルタンパク質であるORAI1のSTIM1によるゲート開閉機構の主要な特徴を調べ、小孔の細胞外領域にある残基V102がチャネルのゲートと考えられることを明らかにした。V102の変異により、STIM1が存在しなくても開口している恒常的活性型のCRACチャネルが生じる。予想に反して、STIM1が結合していないV102変異チャネルにはCa2+選択性がなく、Ca2+選択性はSTIM1との相互作用により、STIM1の存在量に依存する形で上昇する。野生型ORAI1チャネルでも、ORAI1チャネルに直接結合しているSTIM1活性化ドメインの数の増加や、完全長STIM1の相対的発現量の増加によって、同じようなCa2+選択性の上昇が見られる。したがって、高度なCa2+選択性はCRACチャネルが本来持っている性質ではなく、元来は非選択的なORAI1チャネルにSTIM1が付与する調節可能な特性である。我々の結果は、CRACチャネルのSTIM1によるゲート開閉が、イオン透過とゲート開閉が密接に共役した異例な機構によって起こることを実証している。 Full Text PDF 目次へ戻る