Letter 物理:共振器中の共鳴原子核による電磁誘導透過 2012年2月9日 Nature 482, 7384 doi: 10.1038/nature10741 原子準位を量子制御して行う光物質相互作用の操作は、光科学に大きな影響を及ぼしている。このような操作は、数光子レベルでの非線形光学、遅い光、反転分布によらないレーザー発振、光量子情報処理など多くの応用がなされている。その基礎となる重要な手法は、多準位原子における遷移の量子干渉によって、不透明な媒質が原子共鳴付近で透明になる電磁誘導透過である。蓄積リングやX線レーザーなどの加速器に駆動される高輝度光源が開発されたため、光量子制御の手法をX線領域に拡張することに関心が集まっている。本論文では、メスバウアー同位体鉄57(2準位系)の14.4キロ電子ボルトの原子核共鳴を使って、硬X線領域の電磁誘導透過を実証している。我々は、低フィネス共振器中に埋め込まれ、シンクロトロン放射により励起された原子核集団からの協同発光を利用している。共振器モードの光子状態密度を空間変調すると、共振器場の波腹位置にある原子核の超放射状態と節点位置にある原子核の亜放射(subradiant)状態が共存するようになる。この方式によって、原子核は有効3準位系としてふるまうようになり、励起状態には2つの縮退準位が存在する(その1つは準安定と考えられる)。この原子核集団と共振器場が放射結合して、共鳴吸収が消滅するのに必要な原子コヒーレンスができる。この手法は準安定準位を持つ原子系を必要としないため、電磁誘導透過とその応用を原子核共鳴領域へ拡張でき、原子核量子光学の分野が確立される。 Full Text PDF 目次へ戻る