Letter がん:SUMO化不全MITF生殖系列変異は黒色腫や腎がんの素因となる 2011年12月1日 Nature 480, 7375 doi: 10.1038/nature10539 黒色腫と腎細胞がん(RCC)では、この両方に関連が指摘されている共通の環境因子や表現型因子はこれまでのところない。黒色腫のリスク因子としては日光暴露、色素沈着、母斑形質など、RCCのリスク関連因子としては喫煙、肥満、高血圧などが知られている。同一患者で黒色腫とRCCの両方を持つ症例についての最近の研究から、この2つの悪性腫瘍の関連の基盤になっている遺伝的素因があることが裏付けられている。小眼球症関連転写因子(MITF)は黒色腫がん遺伝子として作用すると言われてきたが、この因子はまた腎がん感受性遺伝子の標的とされる経路である低酸素誘導因子(HIF1A)の転写を刺激している。このため我々はMITFが黒色腫とRCCが併発する遺伝的素因を与える役割を持っている可能性を指摘してきた。本論文では、黒色腫、RCCあるいはその両方を持つ遺伝性が濃厚な患者では対照群に比べ、MITF遺伝子内の生殖系列のミスセンス置換(Mi-E318K)が有意に高率に起こっていることを明らかにする。全体として、Mi-E318K変異保因者は黒色腫、RCCまたはその両者を発生するリスクが5倍以上高かった。コドン318はSUMO(small-ubiquitin-like modifier)共通部位(ψKXE)内に位置しており、Mi-E318KはMITFのSUMO化を著しく阻害した。Mi-E318KはMITFタンパク質がHIF1Aのプロモーターに結合するのを促進し、野生型のMITFに比べその転写活性を増加させる。さらにMi-E318Kによって占められている座位の全般的な増加が観察された。RCCの細胞株の1つでは遺伝子発現プロファイリングで細胞の成長、増殖、炎症にかかわるMi-E318Kの特徴が特定された。また、変異タンパク質はメラノサイトや腎細胞のクローン形成性、移動や浸潤を促進し、これは腫瘍発生における機能獲得の役割と一致していた。我々のデータはSUMO化、転写、がんの連携についての手がかりを提供する。 Full Text PDF 目次へ戻る