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化学:過冷却水の構造変化が氷の結晶化速度を支配する

Nature 479, 7374 doi: 10.1038/nature10586

水の未解明の性質の1つは、水が冷やされて氷になる直前の最低温度を左右するのは何かという問題である。水の過冷却液体は均一核形成温度であるTH≈232 K付近まで実験的に調べられてきたが、臨界核の大きさや構造などを含めて氷の結晶化機構はまだ解明されていない。液体水の熱容量と圧縮率は、過冷却領域に入ると約225 Kで発散する(つまり無限大に近づく)べき法則に従って異常に上昇するので、水の熱力学的異常と氷の結晶化速度は関係している可能性がある。しかし、この関係を調べることは困難である。それは、結晶化が急速に起こるためTH未満の液体は実験的研究が難しいからである。また、原子論的研究では水の結晶化がとらえられたが、計算コストが膨大となるために、これにかかわる速度と機構の評価がこれまでは困難だった。今回我々は、TH付近の過冷却領域におけるmW単原子水モデルによる粗視化分子シミュレーションについて報告する。このシミュレーションから、過冷却液体中での4配位分子の割合の急増によって異常な熱力学的性質が説明され、この急増が氷生成速度と機構を支配していることが明らかになった。このシミュレーション結果と実験データを用いた古典的な核形成理論から、水の結晶化速度は225 K付近で最大になり、225 K未満では液体水の平衡化より氷核形成が速くなることが示唆された。このことは、液体水の準安定領域の下限がTHの直下であり、ガラス転移温度(136 K)よりはるかに高いことを意味している。また、我々の研究結果は、液体水の構造変化と異常な熱力学的性質および結晶化速度の間の関係を確立させることによって、均一氷核形成速度が水の熱力学的性質に依存するという以前の結果について、その機構に関する手がかりを与えている。

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