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遺伝:体細胞でのレトロ転位が、ヒト脳の遺伝的全体像を変化させる

Nature 479, 7374 doi: 10.1038/nature10531

レトロトランスポゾンは可動遺伝因子で、生殖系列の「コピー・アンド・ペースト」機構を使って後生動物のゲノム全体に広がっている。ヒトゲノムの少なくとも50%はレトロトランスポゾン由来であり、活動的なファミリーが3つあって(L1、Alu、SVA)、挿入変異や病気に関連している。体細胞ではエピジェネティックな抑制と転写後の抑制が働いてレトロ転位が妨げられているが、その例外が初期の胚発生の際と一部の悪性腫瘍の場合である。最近、ヒト脳でのL1発現とコピー数変異が報告されており、発生の後期でもL1の可動化が起こっている可能性が示唆される。しかし、それに対応する組み込み部位は明らかになっていない。今回我々はハイスループットな手法を用いて、ヒト3個体の海馬と尾状核で多数のL1、Alu、SVA生殖系列変異を同定するとともに、体細胞でのL1挿入と推定される部分を7,743か所同定した。意外にも、体細胞Alu挿入も13,692か所、体細胞SVA挿入も1,350か所明らかになった。これらの結果から、レトロトランスポゾンは脳で、さまざまなパターンで発現される活性なタンパク質コード遺伝子へと移動していることが実証された。したがって、レトロ転位によって生じた体細胞ゲノムのモザイク形成が遺伝的回路を作り替える働きをしている可能性があり、これが正常あるいは異常な神経生物学過程の基盤となっているのかもしれない。

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