Letter 進化:霊長類での安定的な社会性の段階的進化 2011年11月10日 Nature 479, 7372 doi: 10.1038/nature10601 霊長類の社会集団形成パターンの多様性の説明や記述には大きな関心が寄せられているが、社会的生活の進化史の解明にはあまり力が注がれていない。これは、社会的行動が化石に残らず、進化の長い時間経過の中での変化の推測が困難であることが一因である。しかし、霊長類の社会的行動には系統発生的慣性(phylogenetic inertia)の強力な証拠が認められるため、ベイズ法による比較解析を適用して社会的行動の経時変化を推測することは可能であり、それによって社会的進化の代替モデルを評価できる。本論文では、霊長類の社会的進化に関するモデルを提示する。このモデルでは、社会性は、単独で採餌する個体から、多数の雄もしくは多数の雌またはその両方からなる大きな集団へと直接発展し(約5,200万年前)、この第2段階から、つがい生活(約1,600万年前)や雄が1匹のハレム制(約1,600万年前)が派生したと考える。このモデルは、広く受け入れられている別の2つのモデル(社会生態学的仮説が暗示する非構造化モデル、および社会的複雑性の直線的で段階的な経時変化を可能とするモデル)と比較して、データとの適合性が相当に高い。また、社会的生活と、夜行性の活動パターンから昼行性の活動パターンへの変化との共進化に関しての強い裏付けも得られたが、社会的生活と性別の偏った分散との共進化については強い裏付けは得られなかった。このことは、昼間の活動には被捕食リスクの増大が伴うために社会的生活が出現した可能性があるという考え方を裏付ける。結束力の緩い集団に基づく社会性に続いて、安定的または結束力の強い集団への二次的移行が起こった。この構造化は協力行動の進化を促進し、連合の形成、協力的な資源防御、および大型の脳など、類人猿のほかの特徴的な形質が生じる土台になった可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る