Letter 生理:p16Ink4a陽性の老化細胞の排除は加齢関連障害の発生を遅延させる 2011年11月10日 Nature 479, 7372 doi: 10.1038/nature10600 高齢は、ヒト慢性疾患や機能性障害の大半に対して主要リスク因子となるが、老化をもたらす基礎的な機構はいまだにほとんど解明されていないため、加齢関連障害の発症を遅延または防止し、健康寿命を最長にする介入法の開発が妨げられている。傷害を受けたり機能に異常が生じたりしている細胞の増殖を停止させる細胞老化は、腫瘍細胞の悪性化を抑制する重要な機構である。老化細胞は加齢とともに種々の組織および臓器に蓄積し、その分泌成分が組織構造や機能を破壊すると考えられてきた。しかし、老化細胞が加齢に伴う機能障害の原因となるのかどうか、その排除が有益かどうかは依然として不明であった。我々はこれらの基礎的な疑問について検討するために、老化のバイオマーカーp16Ink4aを使用して、薬剤の投与によってp16Ink4a陽性の老化細胞の排除を誘導できる新規導入遺伝子INK-ATTACを設計した。今回我々は、BubR1早老性マウスでは、薬物の投与によってINK-ATTACがp16Ink4a陽性の老化細胞を排除することを示す。脂肪組織、骨格筋および眼のようにp16Ink4aが加齢関連疾患の発症に関与する組織では、p16Ink4a発現細胞を終生排除することによって、こうした表現型の発生が遅延した。さらに、高齢期に老化細胞を排除すると、すでに確立していた加齢性障害の進行が抑制された。今回の結果は、細胞老化が加齢関連表現型が生じる原因であることを示唆しており、老化細胞の排除が組織機能障害を防止または遅延させ、健康寿命の延長を可能にすることを示す。 Full Text PDF 目次へ戻る