Letter 物理:単一量子ドットの分光電気化学的研究により明らかになった2種類のルミネセンス明滅現象 2011年11月10日 Nature 479, 7372 doi: 10.1038/nature10569 フォトルミネセンス明滅現象は、高い(オン)発光率と低い(オフ)発光率の状態間の不規則な切り替えで、これは分子発光体の普遍的な性質であり、色素、高分子、生体分子、またナノ結晶量子ドット、カーボンナノチューブやナノワイヤーなどの人工ナノ構造で見られる。ここ15年間、この現象を研究するモデル系としてはコロイドナノ結晶が使われてきた。ナノ結晶発光にオフ周期が発生するのは余分な電荷の存在が原因で、これによって無放射再結合によるフォトルミネセンス消光(オージェ機構)が起こると一般に考えられてきた。しかし、この「帯電」モデルには、最近のいくつかの報告で疑問が投げかけられている。本論文では、明滅現象における帯電の役割を明らかにすることを目標として、個々のナノ結晶量子ドットで帯電の程度を電気化学的に制御しながら行った時間分解フォトルミネセンス研究について報告する。2種類の明滅現象が起こりうることがわかった。すなわち、ナノ結晶コアの帯電と放電を原因とする従来型(A型)の明滅現象では、フォトルミネセンス強度が低いほどフォトルミネセンス寿命が短くなるという相関があり、2番目(B型)の明滅現象では、発光強度の大きな変化に発光ダイナミクスの著しい変化が伴わない。B型の明滅現象は、表面の電子受容部位での電荷揺らぎに起因すると考えられる。このような部位は非占有時に、「熱い」電子を、それが発光するコア状態へ緩和する前に捕獲する。いずれの明滅現象機構も電気化学的に制御可能で、適切な電位の印加により完全に抑制できる。 Full Text PDF 目次へ戻る