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細胞:ATMは減数分裂時の二本鎖切断形成を制御する

Nature 479, 7372 doi: 10.1038/nature10508

多くの生物では、発生上プログラムされている二本鎖切断(DSB)がSPO11トランスエステラーゼの働きで形成されると、減数分裂組み換えが始まり、それによって相同染色体の対合と分離が進められる。どの染色体にも最小限のDSBが生じる必要があり、そのためDSB形成を助ける因子に関心が集まってきた。しかし、DSBの修復に異常があると減数分裂の停止や変異の原因となる可能性があり、したがってDSBが多すぎるのも、少なすぎるのと同程度に有害と思われる。酵母やマウスではDSBを形成するのはSPO11タンパク質のごく一部だけであること、そして、Spo11とその付随因子はDSBの大半の形成が終わった後も長い間大量に残ることから、SPO11の活性を抑えてDSBの数を制限する機構の存在が考えられる。今回我々は、マウスの減数分裂時のDSB数が、ATMによって制御されていることを明らかにする。ATMはキナーゼで、DNA損傷によって活性化されてチェックポイントシグナル伝達を誘発し、DSB修復を促進する。ATMを持たない精母細胞では、減数分裂DSB形成の副産物であるSPO11–オリゴヌクレオチド複合体の量が、少なくとも10倍に増加する。しかもAtm変異によって、SPO11–オリゴヌクレオチドの量は、SPO11タンパク質量を変化させる遺伝子操作の影響を受けやすくなる。これらから、DSBによるキナーゼの活性化がそれ以上のDSBの形成を抑制するという負のフィードバックループを介して、ATMがSPO11を抑制していると考えられる。今回の知見によって、これまで謎だったAtm-ヌルマウスの表現型が説明でき、ATM欠損によって生じるヒトの病気、毛細血管拡張性運動失調に見られる性腺発育障害の分子基盤が明らかになる。

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