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神経:コウモリ嗅内皮質に存在する、シータ振動を伴わないグリッド細胞

Nature 479, 7371 doi: 10.1038/nature10583

グリッド細胞は、動物で空間の神経表現を担う細胞であり、外部環境内に想定される規則的に並んだ六角格子(グリッド)の交点を動物が通過するときに発火する。グリッド細胞の特性解析はラットで詳しく行われてきたが、どのような神経動態が格子構造を作り出すのかという基本的な問題がまだ解明されていない。これについては相反する2種類のモデルが提唱されており、その1つはアトラクター動態に基づくネットワークモデル、もう1つは振動干渉モデルである。振動干渉モデルは、単一ニューロンの細胞体と樹状突起それぞれのシータ帯域(4〜10 Hz)振動が干渉し合い、時間的な振動が空間的に規則正しく並ぶ格子に変換されると考える。しかし、げっ歯類のグリッド細胞は連続的なシータ振動を常に伴っているため、これらのモデルを実験的に区別することがこれまではできなかった。本研究では、新しい動物モデルとしてエジプトルーセットオオコウモリを用い、空間格子とシータ振動について提案されていた因果関係に反論する。我々はこれまでの研究で、コウモリの海馬から、連続的なシータ振動がなくても場所細胞が空間的に調整されるという知見を得ており、これに基づいて、コウモリの内側嗅内皮質にもシータ振動を伴わないグリッド細胞が存在するのではないかと考えた。実際、コウモリ内側嗅内皮質には、げっ歯類のグリッド細胞と性質の非常によく似たグリッド細胞があることがわかった。特に注目されたのは、これらのグリッド細胞が、振動干渉モデルに必須の前提条件であるシータ帯域の連続的振動がない状態で存在し、グリッド細胞発火のシータ帯域の変調も伴っていないことだった。これらの結果は、げっ歯類以外の動物種にもグリッド細胞が存在することの直接的な証明となり、さらには、グリッド細胞の主要な計算モデルに対する強い反証にもなる。

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