Letter

細胞:Phd2ヘテロノックアウトによるマクロファージのバランス偏向は動脈形成を引き起こすことで虚血を防止する

Nature 479, 7371 doi: 10.1038/nature10507

PHD2は酸素センサーとして機能し、酸素欠乏の場合に血管の形成と変形を調節することによって血液供給を回復させる。しかし、PHD2が動脈形成に影響を与えうるかどうかは解明されていない。本論文では、後肢虚血モデルを用いて、側副血管の成長(動脈形成)(主要動脈閉塞の場合の血流量不足を代償する過程)におけるPHD2の役割を検討した。Phd2Egln1としても知られる)ヘテロノックアウト(Phd2+/−)マウスでは、側副血管があらかじめ形成されていたため、下肢への血流が保持され、虚血による組織壊死が防止された。Phd2+/−マウスで動脈形成の向上が見られるのは、組織に常在するM2様マクロファージの増加およびそのマクロファージによる動脈形成因子の放出増加のためであり、これによって平滑筋細胞(SMC)の動員や増殖が引き起こされる。マクロファージにおいて1個のPhd2対立遺伝子を慢性および急性に除去することが、マクロファージを動脈形成促進表現型へシフトさせるのに十分であった。このマウスにおいて側副血管が生まれつき形成される機構は、Phd2+/−マクロファージでの標準的NF-κB経路の活性化に依存していた。これらの結果は、PHD2がマクロファージの特定の分化状態を制御することで動脈形成や動脈の恒常性を調節する仕組みを明らかにし、虚血性疾患の新しい治療選択肢を示唆している。

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