Letter 脳:ヒト前頭前皮質における転写の経時的動態と遺伝的制御 2011年10月27日 Nature 478, 7370 doi: 10.1038/nature10524 ヒトの細胞株で転写解析と遺伝学的解析を組み合わせる研究はすでに行われているが、こうした手法をヒトの神経組織へ応用した例はまだほとんどない。今回我々は、大脳皮質の発生、機能、老化にヒトゲノムが果たす役割について分子レベルの全体像を得るため、胎児発生期から老化に至るまでの幅広いさまざまな時期の死後脳において、ヒト前頭前皮質での転写の経時的動態と遺伝的制御を調べた。その結果、胎児発生の間に現れて出生後の早い時期に反転する遺伝子発現変化の波を見いだした。こうした反転パターンは出生から50年後にも見られ、これは老化や神経変性を反映している。我々は個々の遺伝的多型と遺伝子発現とのロバストな関連性を数千例同定したが、対象個体間の遺伝的差異の全体的な大きさとそれらの転写プロファイルの全体的な類似性との間には関連性がないことも明らかになった。したがって、個体間や人種間で何百万もの遺伝的差異があるにもかかわらず、ヒトゲノムは前頭前皮質において一貫した分子的基本構造を生み出している。さらなる発見を可能にするために、このすべてのデータセットは自由に利用でき(Gene Expression Omnibus: accession GSE30272; and dbGaP: accession phs000417.v1.p1)、また、生物学者にとって使いやすいスタンドアローンアプリケーションを介して調べることもできる(http://www.libd.org/braincloud)。 Full Text PDF 目次へ戻る