Letter 医学:非ヒト霊長類ではmiR-33a/bの阻害によって血漿HDLが増加し、VLDLトリグリセリドが減少する 2011年10月20日 Nature 478, 7369 doi: 10.1038/nature10486 西欧化した国々では、低比重リポタンパク質(LDL)コレステロール濃度を低下させる至適薬物治療が行われているにもかかわらず、心臓血管病は依然として主な死亡原因となっている。残余リスクを標的とする新規治療法の探索では、高比重リポタンパク質(HDL)コレステロールを増やしてそのアテローム予防作用を活用するために、HDLコレステロール濃度を上昇させる方法が集中的に調べられてきた。だが、マイクロRNA(miRNA)が脂質代謝の重要な転写後調節因子であることが明らかになり、これは治療介入の新たな標的となっている。マイクロRNA-33aおよびマイクロRNA-33b(miR-33a/b)はイントロン性miRNAで、これらをコードする領域はそれぞれ、ステロール応答配列結合タンパク質遺伝子SREBF2、SREBF1中に組み込まれている。これらのmiRNAは、HDL生合成の主要な調節因子であるコレステロール輸送体ABCA1の発現を抑制する。マウスを使って行われた最近の研究で、miR-33aの拮抗阻害が、血漿HDLレベルを上昇させてアテローム性動脈硬化を防ぐ効果的な方法になる可能性が示されているが、マウスでのこうした知見をヒトに単純に当てはめるわけにはいかない。マウスはmiR-33bを持たず、これは中型、大型の哺乳類のSREBF1遺伝子中だけに存在するからである。今回我々は、アフリカミドリザルを用いて、miR-33aとmiR-33bの両方を標的とするアンチmiRNAオリゴヌクレオチドを全身性投与すると、ABCA1の肝臓での発現が増え、血漿中のHDLレベルの上昇が12週間にわたって維持されることを示す。この非ヒト霊長類モデルにおけるmiR-33拮抗阻害によって、脂肪酸酸化にかかわるmiR-33標的遺伝子(CROT、CPT1A、HADHB、PRKAA1)の発現も亢進し、脂肪酸合成にかかわる遺伝子(SREBF1、FASN、ACLY、ACACA)の発現が抑制され、その結果、超低比重リポタンパク質(VLDL)トリグリセリドの血漿レベルが顕著に低下したことは注目に値する。これはマウスでは見られなかった現象である。これらのデータは、ヒトと非常に近縁のモデルでのmiR-33aとmiR-33bの薬理学的阻害が、血漿HDLを上昇させ、VLDLトリグリセリドレベルを低下させて、心臓血管病のリスクを増加させる脂質異常症の有望な治療方法となることを実証している。 Full Text PDF 目次へ戻る