Letter 植物:菌類が分泌したエフェクターによる代謝プライミング 2011年10月20日 Nature 478, 7369 doi: 10.1038/nature10454 クロボキンの一種であるUstilago maydisが原因で起こるトウモロコシ黒穂病は、植物に大きな腫瘍が生じるという特徴を持つ、広く見られる病気である。U. maydisは、生きた植物組織を増殖に必要とする生体栄養型病原体で、菌糸とトウモロコシの細胞膜との間に両者が密接に相互作用する領域が生じる。U. maydisは、分泌タンパク質であるエフェクターによって、植物の防御反応を能動的に抑制する。このエフェクター群は少なくとも386個の遺伝子で構成され、そのほとんどは機能が未知のタンパク質をコードしており、生体栄養性生活の段階で選択的に発現される。U. maydisのセクレトームにはほかにも、菌の栄養摂取、菌細胞壁の修飾、宿主への侵入に役割を担うと推定される約150のタンパク質が含まれるだけでなく、コリスミ酸ムターゼのように菌と宿主の接点では機能しそうもないタンパク質も含まれている。コリスミ酸ムターゼはシキミ酸経路の重要な酵素で、コリスミ酸をチロシンやフェニルアラニン合成の前駆体となるプレフェン酸へと変換する反応を触媒する。根こぶ線虫は分泌型コリスミ酸ムターゼを植物細胞に注入し、発生を変化させるらしい。今回我々は、U. maydisが分泌するコリスミ酸ムターゼCmu1が、U. maydisの毒性因子であることを明らかにする。この酵素は植物細胞に取り込まれ、近隣の細胞に広がって、代謝プライミングによってこれらの細胞の代謝状態を変化させる。分泌型コリスミ酸ムターゼは植物に関係する多くの微生物で見られ、宿主を操作する一般的な手段として使われている可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る