Letter

脳:一次運動野は高速フィードバック制御のための多関節統合の基盤である

Nature 478, 7369 doi: 10.1038/nature10436

神経系にとって基本的難問の1つは、局所のあいまいな感覚情報を統合して、外界世界についての正確な知覚を形成することである。 この「局所から全体へ」という問題は、腕の運動制御にとっても重要である。なぜなら、肩と肘の間に複雑な機械的相互作用があることで、1つの関節では、肩と肘のトルクのほぼ無限の組み合わせの中から特定の運動量が生じることが可能になっているからである。今回我々は、ヒトとアカゲザルで、一次運動野(M1)を通る皮質間経路が、高速のフィードバック制御の際にこの「あいまい性」を解決していることを示す。行動中のサルでは、個々のM1ニューロンが肩と肘の動き情報を運動指令に統合しており、機械的擾乱があると約50ミリ秒以内にこうした指令がそのトルクに適切に対抗する。さらに、ヒトでもM1の情報処理と複数関節統合の間に因果関係があることがわかった。これは、肘だけの移動の約50ミリ秒後に起こる肩の筋肉の反応を、経頭蓋磁気刺激によって増強できることから明らかになった。まとめると今回の結果は、M1を介した皮質間情報処理がフィードバック応答を、随意制御に対抗する精緻なレベルまで高められることを示している。これは、随意運動が感覚フィードバックのインテリジェントな操作によって生み出されるとする有力な理論を、神経生理学の側から裏付けるものである。

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