Letter 細胞:誘導多能性幹細胞におけるα1アンチトリプシン欠損症のターゲッティド遺伝子修復 2011年10月20日 Nature 478, 7369 doi: 10.1038/nature10424 ヒトの誘導多能性幹細胞(iPSC)は、自家移植のための細胞を量の制限なく作出できる見込みがあることから、再生医療にまたとない機会をもたらし、さまざまな疾患の治療に適用できる可能性がある。しかし、遺伝性のヒト疾患にヒトiPSCを使用するには、臨床適用に完全に対応できる方法で、疾患を引き起こす変異の修復が必要だろう。相同組み換えなどの現在利用可能な方法は、必要とされる効率に達しておらず、また、標的ゲノムに残存配列も残す。したがって、ヒトiPSCの臨床使用の実現をめざすには、哺乳類ゲノムを編集する新しい手法の開発が必須条件となる。本論文では、ヒトiPSCでジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)とpiggyBac技術を組み合わせて用いることで、α1アンチトリプシン欠損症の原因となるα1アンチトリプシン(A1AT、SERPINA1としても知られている)遺伝子の点変異(Glu342Lys)の両対立遺伝子での修復が達成できることを示す。ヒトiPSCでの遺伝子修復によって、in vitroおよびin vivoでその後誘導された肝臓細胞でのA1ATの構造と機能が回復した。この手法は、現在利用可能な他のどの遺伝子ターゲッティング技術よりもずっと効率がよく、また、宿主ゲノムへの残存非ヒト配列の混入を決定的に防ぐ。我々の結果は、ヒトiPSCと遺伝子修復を組み合わせて、自己細胞を基盤とした治療のための臨床的に意義ある細胞を作出する可能性についての、我々が知るかぎりで最初の原理証明実験である。 Full Text PDF 目次へ戻る