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構造生物学:ヒトミトコンドリアRNAポリメラーゼの構造

Nature 478, 7368 doi: 10.1038/nature10435

ミトコンドリアゲノムの転写は、単一サブユニットRNAポリメラーゼ(mtRNAP)により行われる。mtRNAPは、バクテリオファージT7のRNAPやDNAポリメラーゼのpol Iファミリー、また葉緑体由来の単一サブユニットRNAPと遠縁関係にある。T7のRNAPが自身で転写を開始できるのに対し、mtRNAPはプロモーターDNAの結合や開裂にTFAMやTFB2Mという因子を必要とする。TFAMは豊富に存在するタンパク質で、転写開始部位の15〜40塩基対上流のプロモーターDNAと結合して曲げ、またmtRNAPやTFB2Mのプロモーターへの移動を促進する。TFB2Mは、mtRNAPを助けてプロモーター構造をほどき、mtRNAPの活性部位がRNA–DNAハイブリッドの最初の塩基対に近づいて相互作用できるようにする。今回我々は、ヒトmtRNAPの2.5 Å分解能でのX線構造を報告する。これによって、T7様の触媒カルボニル末端ドメイン、T7プロモーター結合ドメインとわずかに似ているアミノ末端ドメイン、新規のペンタトリコペプチドリピートドメインと柔軟なアミノ末端伸長部分が明らかになった。ペンタトリコペプチドリピートドメインは、T7 RNAPでプロモーターDNAと結合するATリッチ認識ループを隔離しており、これがおそらくプロモーター結合の際にTFAMが必要となることの理由である。ATリッチ認識ループ中の保存されたアルギニン残基の置換、またはmtRNAPのアミノ末端部分の欠失によってこのループを放出しても、転写には影響がないことはこの考えと一致する。ファージのRNAPでDNA開裂を起こすフィンガードメインや挿入ヘアピンは配置替えされており、プロモーターをほどく際にTFB2Mが必要なことが説明される。我々の結果は、ミトコンドリアでの転写機構解析のための新たな論拠となる。またこの結果は、初期のファージ様mtRNAPがプロモーターの結合と開裂における機能をどのようにして失ったかを示している。こうした機能は進化の過程でin transに働く開始因子により与えられるようになり、ミトコンドリアの遺伝子調節とミトコンドリア機能の環境変化への適応を可能にした。

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