Letter 免疫:大腸共生微生物叢による末梢での免疫系の教育 2011年10月13日 Nature 478, 7368 doi: 10.1038/nature10434 自己寛容となって自己免疫を防ぐための免疫系の教育は、胸腺と呼ばれる特殊化した器官でのT細胞の教育によって促される。胸腺では、自己反応性細胞は除去されるか、もしくは寛容誘導性Foxp3+制御性T(Treg)細胞へと分化する。しかし、T細胞が炎症性腸疾患のような免疫疾患を防ぐために、共生細菌由来の抗原などの外来抗原にも寛容となるように教育されるかどうかは知られていない。本論文では、共生微生物叢との接触が、病原性のエフェクター細胞ではなくTreg細胞を末梢で発生させることを示す。大腸のTreg細胞は他の場所のTreg細胞によって使われているものとは異なるT細胞受容体(TCR)を使っていることがわかり、大腸のTreg細胞集団形成に局所抗原が重要な役割を持つことが示唆された。よく見られる大腸のTreg TCRのin vitroでの反応性に基づくと、その局所抗原の多くは共生細菌由来と考えられる。これらのTCRは、胸腺のTreg細胞の発生は促さないので、大腸のTreg細胞の多くは胸腺由来ではなく抗原によって誘導される末梢のTreg細胞発生を介して生じていると考えられる。レトロウイルスによって作製した骨髄キメラによって得たTCRのうちの2つとTCRトランスジェニック系統をさらに詳細に解析したところ、我々のマウスコロニーに常在する微生物叢が、通常ならばナイーブT細胞となる細胞からの大腸Treg細胞への発生に必要なことが明らかになった。もしこれらのTCRを発現するT細胞がTreg細胞へと発生せず、代わりにエフェクター細胞になると、養子移入実験から明らかなように、腸炎が誘導される可能性がある。これらの結果は、個々の個体の微生物叢に応じたTreg細胞の抗原特異的集団の末梢での効率的な発生が、外来抗原に対する免疫系の重要な胸腺後の教育となり、それによって共生微生物叢に対する寛容が与えられることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る