Letter 植物:NADPHオキシダーゼのS-ニトロシル化は植物免疫における細胞死を調節する 2011年10月13日 Nature 478, 7368 doi: 10.1038/nature10427 酸化還元状態の変化は、さまざまな真核生物の免疫応答の目立った特徴だが、それにかかわるシグナル伝達機構はよくわかっていない。植物では、微生物が感染しそうになると、それがきっかけとなって一酸化窒素が迅速に合成され、同時に活性酸素中間体が蓄積する。活性酸素中間体はNADPHオキシダーゼによって生成されるが、この酵素は病原体刺激によって貪食細胞で起こる呼吸バーストにかかわるNADPHオキシダーゼと近縁である。一酸化窒素と活性酸素中間体はどちらも過敏感反応、つまり感染部位で起こる植物細胞のプログラム細胞死の調節にかかわっている。しかし、一酸化窒素と活性酸素中間体の機能の基盤となる分子機構や、その合成を調整する仕組みは解明されていない。今回我々は、システインのチオールが一酸化窒素によって修飾されてできるS-ニトロソチオールの増加により、細胞死アゴニストであるサリチル酸がなくても過敏感反応と活性酸素中間体合成が促進されることを明らかにする。意外にも、S-ニトロソチオール濃度が高くなると、一酸化窒素が過敏感反応を制限する負のフィードバックループをも支配するようになった。この働きは、NADPHオキシダーゼAtRBOHDのCys890のS-ニトロシル化により、活性酸素中間体合成能を阻害することによっている。したがって、Cys890を変異させるとS-ニトロソチオールを介したAtRBOHDの活性調節が障害されて、細胞死の展開規模に異常が生じる。このシステイン残基は進化上保存されていて、ヒトとショウジョウバエのNADPHオキシダーゼの両方で特異的にS-ニトロシル化されるので、この機構が植物と動物の両方で免疫応答を支配している可能性が考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る