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医学:ボルバキアwMel株はデング熱を阻止し、ケージ内のネッタイシマカ個体群に侵入する

Nature 476, 7361 doi: 10.1038/nature10355

デング熱は、蚊が媒介するヒトのウイルス性疾患では最も重要なもので、100か国以上で発生し、感染例は年間5,000万を超えると見積もられている。懸念されているのは、デング熱の地理的分布が現在拡大しつつあり、また流行もしだいに深刻なものになってきていることである。しかし、デング熱の抑制対策は非常に限られている。現在は主要な媒介動物であるネッタイシマカ(Aedes aegypti)の数を減らすことが中心となっているが、このような方法では熱帯地域でのデング熱発生を減らすことができておらず、効果的な代替策が緊急に求められている。内部共生細菌ボルバキア(Wolbachia)を蚊に感染させるという方法は、デング熱対策の新しい戦略として使えるのではないかと提唱されてきた。例えば、ボルバキアのwMelPop-CLA株は、安定的に感染しているネッタイシマカ成虫の寿命を短くする。このような寿命短縮表現型を持つ蚊は、デング熱伝播の可能性を下げると予測されている。最近、wMelPop-CLA株などの複数種のボルバキア感染が、さまざまな昆虫病原体やヒト病原体に対する宿主昆虫の感染感受性を直接的に変化させることが見いだされ、ボルバキア感染をヒトの病気対策に使える可能性が大幅に高まった。今回我々は、ボルバキアの無発病性のwMel株をネッタイシマカにトランス感染させることに成功し、これにより細胞質不和合という、見かけ上の適応コストが最小で、母系伝播率が高い生殖表現型が誘導され、侵入に最適な表現型効果がもたらされたことを報告する。半野外条件下でwMel株は、当初の0.65という頻度から数世代のうちにほぼ固定するところまで増殖し、wMelPop-CLA株を使った場合に比べて速い速度でネッタイシマカ個体群に侵入した。また、wMel株、wMelPop-CLA株は共に、ネッタイシマカにおけるデングウイルス血清型2(DENV-2)の伝播を阻害することが明らかになり、これはデング熱抑制の実践的方法の基盤となるだろう。

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