Article 構造生物学:呼吸複合体I膜内ドメインの構造 2011年8月25日 Nature 476, 7361 doi: 10.1038/nature10330 呼吸鎖複合体Iは、呼吸鎖中で最初の位置を占める最も大きな複合体であり、NADHとユビキノンの間の電子伝達を、4個のプロトンの膜を通過する移動と共役させている。この複合体は、細胞エネルギーの産生に重要な役割を担っており、ヒトの多数の神経変性疾患にかかわることが明らかにされている。L字型のこの酵素は、親水性ドメインと膜内ドメインからなる。我々は以前に、親水性ドメインの構造を決定した。本論文では、大腸菌(Escherichia coli)複合体I膜内ドメインの3.0 Å分解能での結晶構造を報告する。このドメインは、NuoL、NuoM、NuoN、NuoA、NuoJおよびNuoKという6つのサブユニットからなり、55本の膜貫通ヘリックスを持つ。対向輸送体に似た、相同なサブユニットであるL、MおよびNの折りたたみは新規なもので、5本の膜貫通ヘリックスからなる2つの逆向き構造リピートが、異例なことに一列に並んで配置されている。各リピートには、不連続の膜貫通ヘリックスが含まれており、膜を横切るチャネルの半分を形成している。保存された極性残基のネットワークにより、半分のチャネル2個がつながれて、プロトン輸送経路が完成している。予想外のことだが、これらのサブユニットのプロトンポンプの主要素として機能しているのは、カルボン酸残基でなくリジンである。4番目のプロトン移動チャネルと思われるものが、サブユニットN、K、JとAの界面にある。この構造は、複合体Iでのプロトン移動は、6つの対象な構造要素で起こる協調したコンホメーション変化がかかわるという独自のものであることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る