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免疫:T細胞受容体再構成と胸腺細胞分化におけるコヒーシンの役割

Nature 476, 7361 doi: 10.1038/nature10312

コヒーシンは、S期におけるDNA複製時期から有糸分裂までの間、姉妹染色分体を束ねておくことによってDNAの複製後修復と染色体分配を可能にしている。また、コヒーシンが遠く離れた染色体間にシス相互作用を形成し、CTCF、メディエーターあるいは組織特異的転写因子と共同して遺伝子発現を調節していることを示す証拠も増えつつある。コルネリア・デ・ランゲ症候群のようなヒトのコヒーシン病は、コヒーシンの非典型的機能の障害が原因と考えられているが、コヒーシンの細胞分裂に関連した機能と細胞分裂に関係しない機能との間の、ショウジョウバエで実証されたような明確な区別は脊椎動物系では明らかにされていない。この問題に取り組むために、我々は発生中のマウス胸腺細胞で、分裂を停止してT細胞受容体(TCR)α遺伝子座(Tcra)の再構成が起こる時期に、コヒーシン遺伝子座Rad21を取り除いた。Rad21を欠失する胸腺細胞の寿命は正常で、また効率は減少するものの分化能を維持していた。コヒーシン結合部位はTEAプロモーターとEαエンハンサーの近傍に位置して、散在しているTcrd構成成分や付近のハウスキーピング遺伝子からTcraを分離しているが、Rad21の喪失によって、Tcra遺伝子座のクロマチン構造に欠陥が生じた。コヒーシンは、長距離にわたるプロモーター・エンハンサー相互作用、Tcra転写、組み換え装置を動員するH3K4me3ヒストン修飾、およびTcra再構成に必要だった。すでに再構成されているTCR導入遺伝子により胸腺細胞分化がほぼ正常に戻ったことは、ゲノム全体にわたって存在する非常に多くの標的遺伝子候補のうち、Tcra再構成の障害はコヒーシン欠損胸腺細胞の分化だけを制限していることを示している。これらの知見は、Tcra遺伝子座再構成におけるコヒーシンの、細胞分裂とは関係のない役割を明らかにしており、また性質がよく調べられている哺乳類の系でコヒーシンが細胞分化を可能にする機序について包括的な説明を与えている。

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